生まれる次元を間違えた。

プリキュアになることは諦めました

【映画を観てきました】『ジェリー・フィッシュ』

気温も秋らしくなり、

便座のあたため機能をそろそろ発動しようかと思う今日この頃、

みなさんいかがお過ごしでしょうか。

 

わたしと言えば、すでにスウェットを着込み羽毛布団に包まって眠る毎日。

やってくるのね、やってこようと言うのね、あの季節が……。

 

この前『ARIA』の最終巻を読んでいたときに、

灯里ちゃんが夏の終わりのこの時期のことを

この時期は日に日に空気が澄んでいって

お日さまの光が少しずつ銀色に変わっていって

それがとっても気持ちいいんですよね

と表現していました。

 

その言葉を受けたお客さん(郵便屋さん)

嬢ちゃんは相変わらず何でもない日常からいいモンを見つけ出すのが上手いなあ

と言うのですが、この作品を読んでいると本当にその通りだなあと思います。

 

灯里ちゃんは、時々こちらが申し訳なくなるくらいに

考え方や視点がきれいなのですが、

読んだ時期がちょうど季節の移り変わりの頃だったからか、

この表現はとても納得できました。

 

この時期は、本当に朝の空気が澄んでいるように感じます。

光の差し込む量が変わって、キラキラと優しい輝きになる感じもとても好きです。

寒いのは苦手だけれど、秋と冬のキリッとした空気がとても好きです。

 

 

そんな秋を感じる季節になった最近のわたしはと言いますと、

お世話になっている飲み屋さんで店員のおじさんから

「さいとうは同性愛者っぽそうだから、これ見てみなよ」と、

映画の特別招待券をいただいたので観てきました。

 

「なんだよ、同性愛者っぽいってwww」とか

「正直、自分が出演してるから宣伝したいだけだろ!」など

言いたいことはたくさんありましたが、せっかくオススメされたので観てきました

ジェリー・フィッシュ(R-18)

※以下、同性愛や性的描写・作品のネタバレがありますのでご注意ください。

 

  まず言っておきますが、この記事は何の面白みもありません。

  わたしが映画の感想をつらつら、だらだらと書き綴るだけの

  本当に誰も得をしない記事です。

 

 

これは、新潮社の「女による女のためのR-18文学賞」受賞作の

映画化シリーズ第2弾で(第1弾は『自縄自縛の私』)

雛倉さりえさんが16歳のときに書いた同名小説が原作となっています。

 

【あらすじ】※公式サイト引用

クラスの中で浮いている高校生・宮下夕紀は、ある日、水族館のクラゲの水槽の前で同級生の篠原叶子に声をかけられ、そこで戸惑いながらも唇を重ねた。これを機に、二人は次第に心惹かれ合うようになっていく。

平凡な家庭に育つも、どこか日常への不満を抑えきれず、レンタルDVDショップの店長に身体を委ねたこともあった夕紀にとって、叶子はかけがえのない存在でもあった。しかし、常に孤独の闇を抱えている叶子は、そんな夕紀の想いを知りながら、突然クラスメイトの平井からの告白を受け入れ、彼とSEXに興じるようになる。同時に、彼女が中学時代に妊娠して堕胎したという噂まで聞こえて来て、夕紀の心は激しく乱れ始めていき……。

 

要約すると、

地味で目立たない女子高生と、

スクールカースト上位で常にみんなの中心にいる派手な女子高生との

禁断の恋を描いた作品です。

 

同性愛を描いてはいますし、R-18指定ではありますが、

別段観にくい作品ではないと思います。

女性同士の身体的な交ざりは、キスを除いて終盤くらいまで出てきませんし、

その終盤の描写もそこまで過激なものではありません。

(”過激”の感じ方は人それぞれだと思うなのでなんとも言えないのですが、

 R-18映画を初めて観たわたしは、そこまで過激だと感じませんでした)

 

これは2人が高校生という設定だったからかもしれませんが、

女性の粘着的な生々しさやドス黒さといった嫌な部分はなく、

繊細さや儚さといった美しい部分を淡く描いた

思春期の危険な恋”というように感じました。

 

女性キャストの体当たりの演技もとても良かったです。

これが初めて観た官能映画なので他と比べようがないですが、

恥じらうところは恥じらい、大胆に見せるところでは大胆に…と、

見事な脱ぎっぷりでした。

 

叶子役の花井瑠美さんは、

何を考えているかわからないミステリアスな叶子の雰囲気を体言するように、

華奢でしなやかな身体つきをしていてとても美しかったです。

この記事を書きながら調べていてわかったのですが、

元新体操選手だったみたいですね。

どうりで!(納得)

 

夕紀役の大谷 澪さんは、役的には地味な女子高生ですが、

その歳の女の子らしい細身でありながら胸はそれなりにあったり、

くびれているところはちゃんとくびれていたり、

普段は地味だけど脱いだらそれなりにいい身体”みたいな感じが

夕紀っぽくていいなと思いました。

 

「身体の話かよ!」って感じですが、

もちろん演技もとてもよかったと思います。

 

花井さんは、叶子の本能のままに赴くフワフワと危うい感じを。

大谷さんは、そんな叶子にヤキモキし人知れず嫉妬や孤独を感じる夕紀の脆さを

とても上手く表現しているなぁと感じました。

 

とくに大谷さん演じる夕紀は、

叶子の言動に一喜一憂したり、日に日に強くなる彼女に対する想いであったり、

アルバイト先の店長との身体の関係で一悶着あったり、口うるさい母親に対する怒りがあったりと、

普段から自分の考えや感情を上手く伝えられない・誰にも相談できない性格だからこそ、

行き場のない感情を多く抱えている役だと感じたので、

その表現が大変だっただろうなと思いました。

 

 

この2人の関係は叶子がきっかけで始まったものですが、

物語が進むにつれて次第に想いが逆転し、

いつからか夕紀の叶子に対する想いの方が強くなっていきます。

 

これはわたしの憶測ですが、

そもそも、叶子は”女性しか愛せないタイプの人間ではない”ということだけでなく、

両性愛者でもない…ただ、本当に”気持ちいいことが好き”なだけだったのではないかと思うんです。

 

かといって、夕紀も男性が全く駄目なわけではありませんでした。

彼女の初体験の相手はアルバイト先の妻子持ちの店長なのですが、

ここで「恋が楽しい!」とか「性行為は気持ちいい!」とか、

そういうドキドキに行き着かなかったわけです。

そんな中で叶子との”禁断の恋”に対して初めてドキドキし、

「これが恋なのか!」と勘違い…とは違うかもしれませんが、

そこで初めてドキドキを感じたことで、彼女の性格だったからこそ

「周りの頼りない男性たちとは違う」とか

「女性同士だから考えていること、感じたことを共有できる」

という思考に行き着き、女性を好きになるようになったのかなと感じました。

 

 

ここまで言ってしまっているので何となく想像がつくかもしれませんが、

結局2人の仲は続きません。

 

ラストシーンでは、

夕紀はお揃いのピアスをした女性(おそらく恋人だと思うのですが、はっきりとした描写・言及なし)と2人、

叶子は子供を身ごもった姿で男性と2人、雨の中ですれ違います。

先に気付いた夕紀はとっさに顔を逸らし、叶子に気付かれまいとしますが、

しばらく歩いた後で振り返った叶子が旦那に向かって

「雨の日に傘をさす姿って、みんなクラゲみたい…」(詳しいセリフは忘れた)

とかなんとか言うのでたぶん気付いているんじゃないかなぁ。

 

そんな感じで、それこそクラゲのようにフワーっと終わる作品でしたが、

思春期の儚さや透明感みたいなものを感じるきれいな映画だったと思います。

 

 

個人的に好きだった点は、

夕紀が「わたしが東京の大学に行ったら2人で一緒に住もう?」みたいな話を振ったときに、

叶子が「わたしたち趣味合わないじゃん。じゃあさ、カーテンは何色にする?」と聞いて

「カーテン…無地の水色とか?」と答えるのですが、

最後に叶子の家で2人で身体を交えるときに、

彼女の部屋のカーテンがそれまでのピンクから水色に変わっていたところです。

この会話が関係あるかはわかりませんが、この演出が好きでした。

 

 

前述したとおり女性同士の過激な交ざりはないですが、

叶子と彼氏の交ざりはそれなりにちゃんと交ざっていたので、

「そんなに過激じゃないのなら…」とハードルを下げすぎると結構面食らいます

 

それから、冒頭で「飲み屋のおじさんが出演している」と書きましたが、

おじさんについては、普段のおじさんのまんまでめっちゃ笑いました。

ちなみに、リュックを背負ったアロハシャツのおじさんです。

 

 

 

あと…全然関係ないのですが、叶子が夕紀の唇を奪ったときに

「女の子同士でキスするのって、気持ちいいね」とかなんとか言うのですが、

わたしの実体験からすると突然女の子に唇を奪われても

唐突すぎて「????」と状況が把握できず、

「えへへ…」ってとりあえず笑ってみるしかありませんでした(ヘタレ)。