生まれる次元を間違えた。

プリキュアになることは諦めました

【『ダンガンロンパ The Animation』5話感想】不二咲の”強さ”と大和田の”弱さ”

 ※アニメ5話及び、ゲーム2章のネタバレを含みます

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ダンガンロンパ The Animation』の5話が終わりました。

4話後半~5話までが原作ゲームの2章にあたるわけですが、大方の予想通りサクサクっと片付けられてしまいました。

 

今回のアニメに関しては、1クールという(どう考えても足りない)時間の中で全6章まで映像化しなければなりませんので、キャラクターが動いているだけで万々歳!というスタンスで見ていました。ですので、物語や演出について細かく言うつもりはなかったのです

……が、

やはり1章に比べてかなりストーリーがカットされているなぁ…と。

これまで、

葉隠「模擬刀の先制攻撃だべ!」

石丸「忘れろビーム!」

セレス「いいから早く持って来い、このブタがぁぁぁ!!!」

など、原作でも人気のある小ネタはたくさん盛り込んでくれているので、

そこからは愛を感じるのですが、もっとストーリーに沿った小ネタを盛り込むべきでは?…と疑問に思ったり、思わなかったり。

 

しかし、今章については無理矢理そのネタを組み込んだら、

ほぼ「殺ったのアイツだろ…」と思ってしまう気がするので仕方がないのでしょう。

アニメ版では、ゲームの“自由時間”に該当する部分がほぼ省かれているので、「誰と誰が仲が良いのか」など、人間関係が大変分かりづらくなっています。

なんにせよ、時間が足りない!

…ということで、今回は残念ながら本編では省かれてしまった5話のストーリーを補足していきたいと思います。

 

自分はゲームをプレイしているので、アニメ版でストーリーが省略されていても自己補完できるのですが、アニメ版から入った方は5話を見て

  • なんで不二咲は大和田を頼ったの?
  • 大和田が不二咲を殺した理由も明かされていたけど、そんな理由で殺害までする?

…という印象を受けたのではないかな、と思いました。

(というか、アニメから入った友人に実際に言われました)

 

ついでに

  • 石丸は大和田とサウナで意気投合したとはいえ、あんな短時間の友情であそこまでショックを受ける?

という意見もいただきましたが、これに関しては思いっきりNETABAREになってしまうので、「6話を見てください」としか言いようがありません。

なんにせよ、時間が足りないのです。それにつきます。

 

さてさて、まずは今回の殺人ですが

被害者は超高校級の天使プログラマーの不二咲千尋

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前記事でも書きましたが、無印で1番好きなキャラクター。

言わずもがな、男の子…いや、男の娘です。

念のためにもう一度言いますが、

男の娘だから好きになったのではない!

好きになった女の子(だと思っていた子)がたまたま男の子だっただけなんだ!

違うんだ、誤解なんだ!!!

 

そして、この超高校級の天使・ちーたんを手にかけたのが

超高校級の暴走族・大和田紋土です。

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暴走族ということで見た目は厳つく言葉遣いや行動も荒いのですが、

義理人情に厚く非常に面倒見の良い青年です。

 

そもそも、

なぜ不二咲は大和田に特訓を頼んだのか…そんなに仲良かった?

そこがアニメ視聴者は気になるところだと思います。

 

アニメ本編では省かれてしまったのですが、

不二咲と大和田が仲良くなるまでに、ゲーム版ではこんなやり取りがありました。

 

不二咲が十神とちょっとした言い合いになった際、

不二咲は怖くて言い返せずに、そのことを翌日も気にしていました。

そのとき、大和田は十神に対して「弱い者いじめすんじゃねぇ!」と言い、不二咲を庇おうとするものの「ホントにダメだよね…弱っちくてさ…」と、さらに落ち込ませてしまいます。

そんなつもりはなかった大和田は「オレは悪気があって言ったんじゃねーぞ! 大体よぉ、女なんだから弱くて当たり前だろ!」と禁句を口にしてしまいます。

その言葉に、また泣き出してしまう不二咲。

大きな声を出したことで驚かせてしまったと思った大和田は、

「男の約束をしようじゃねーか、オレはぜってーに怒鳴らないからよ。だから、オメェも泣くなって!」と約束を交わし、不二咲も笑顔に戻ります。

 

これをきっかけに、不二咲と大和田は仲良くなるんですね。

 

ここは個人的な考えなのですが、

不二咲は、男性でありながら女性の格好をしています。

外見は女性なので、校内散策や普段の食事等では女子と行動する(誘われる)ことが多い。

しかし、不二咲自身は自分が男子であるという気持ちを失っているわけではないので、本当は男子として仲良くしたいという思いがあり、結局のところ女子とも男子とも上手く距離をとることができなかったんだと思います。

ゲームをプレイしたのが結構前なので、ちょっとうろ覚えなんですが、確か女子の1人が「不二咲さんは男子とばかり楽しそうにしゃべっている」的なことを言っていた気がします。

つまり「不二咲は、もしかして“男好き”なんじゃね?」と……。

そこから、あまり女子とは上手くいっていないのだろうと感じました。

しかし、男子は男子で“不二咲は女”という認識なので、なかなか距離を縮めることができません。大和田と石丸のような“男の友情”なんてもってのほかなわけです。

そんな中で、男気に溢れ自分の理想の対象である大和田と“男の約束”を交わしたことは、不二咲にとってかなりの心の支えになったのだと思います。

 

こうして少しずつ生徒間に友情が芽生えてきた最中、

モノクマから新たに提供された殺人の動機は

”はずかしい思い出・知られたくない過去“

封筒を開けて中身を読んだ不二咲(ゲーム版)は、「…このままじゃダメだと思うから、後できっと話すよ…頑張って…強くなって…みんなには話すから……」と決心します。

アニメでは学級裁判中にモノクマが言っていましたが、不二咲はこれを機に変わろうとしたんですね。

そして不二咲は、自分が憧れる“THE☆漢”な大和田に思い切って「自分が本当は男である」「大和田のような男らしい人間に生まれ変わりたい」ということを伝え、大和田も不二咲に協力していくようになります。

 

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しかし、不二咲の「変わりたい!」という強い思いは、

予想以上に大和田の心に重くのしかかっていきます

 

 

裁判の後に明かされた大和田の“知られたくない過去”は、

「兄を殺したこと」でした。

 

関東最大の暴走族“暮威慈畏大亜紋土”の初代総長だった兄(大亜)は、大和田にとって唯一尊敬できる憧れの存在。

そんな兄を自分の無茶のせいで亡くしてしまった…これが今なお大和田を縛り、苦しめていたことでした。


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総長としてチームを作り、舎弟たちからも絶大な信頼を寄せられていた兄・大亜。

そんな兄を越えたくて、兄とばかり比較する舎弟たちに認められたくて頑張っていたはずの大和田は、兄を亡くした時点で彼に勝つ(越える)ことができなくなってしまいます。

しかもそれが、自分を庇ってのことですから、一生をかけても越えられない存在になってしまったわけです。

 

自分の強さを証明する存在がなくなってしまった大和田は、チームの舎弟たちにも事故の真実を明かすことができず、

「兄が無茶な走りをしたせいで自滅した」と伝えることで

“兄に勝った弟”という偽りの強さを手に入れます。

そこから、彼の異常なまでの“強さ”への執着が始まるわけです。

 

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不二咲が自分の弱さにコンプレックスを感じて“女装”という形で現実から逃げていたのと同じように、大和田は自分の弱さに対して「自分は強い」と思いこみ、嘘で固めることで現実から逃げていました。

 

 

そんな中で、「いつまでも“嘘に逃げている弱い自分”を壊して変わりたい!」という不二咲の思いは、“嘘で(偽りの)強さを手に入れた”大和田の人生そのものを否定し、彼の心の傷を深く抉ってしまう結果になります。

 

ただでさえ、“死んだ兄と自分しか知らない重大な過去”をモノクマにバラされるかもしれないという不安で動揺していた大和田ですから、不二咲のその言葉は彼の理性を失わせるのに十分なものでした。

 

自分の“弱さ”と“嘘”を全て打ち壊し、変わりたかった不二咲

自分の“弱さ”を“嘘”で隠して生きることしかできない大和田

 

2人の悩みの根本的な部分は似ているはずなのに、

現状を打破できない、そこから一切動くことができない大和田は、自分から変わろうとする強い信念を持つ不二咲に歪んだ嫉妬心を抱いてしまいます。

 

「不二咲は自分から変わることができる“強い”人間」

その認識は、越えたかった兄を越えられず真実を嘘で隠すことでしか強さを得られなかった大和田に対して、不二咲の“強さ”はあまりにも眩しく、受け入れ難いものだったのだと思います。

 

そして不二咲の口から

でもさぁ、大和田くんは強いから、きっとへっちゃらなんだよね?

という言葉が出たとき、大和田の理性が崩壊します。

 

「本当に強ぇーなら…秘密を言ってみろっつーのか?

オレに…どうしろっつーんだ…?

秘密をバラして…全部台無しにすりゃ…よかったってのか?

なんで…オレに言った? オレへの当て付けか?」

「ぼ、僕はただ…大和田くんに憧れてて…」

「そうだよ…オレは強ぇーんだ…強い…強いんだ…強い強い強い強い強い強い強い強い強い強い強い強い強い強い強い強い! オメェよりも…! 兄貴よりもだぁぁぁぁぁああッ!!」

 

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気づいたときには、大和田の足元に血まみれの不二咲がいました。

 

大和田は自分の弱さを心のどこかでわかっていたけれど、それを認めたくなくてここまで来てしまいました。

そんな中で今回モノクマが提供したネタは、彼にとって全然へっちゃらじゃなかったわけです。むしろ1番触れられたくない、これまでの“自分”という存在そのものを全否定するものでした。

 

結局のところ、アニメと同じく“嫉妬心”が“殺意”に

…という、かなり身勝手な理由なのには変わりないのですが、アニメは省略されていて、殺意に変わるほどの大和田の強さに対する執着やら、嫉妬の理由がわかりにくいと感じたので、補足という形で書かせていただきました。

 

補足の補足…というか小ネタになるのですが、

ゲームで大和田の好感度を上げていくと、兄について話してくれるシーンがあります。

そこで「まあ、オレの方が兄貴よりもスゲーけどな」と言うのですが、そのときの彼は目を逸らしてしまっているんですよね。

そこからも、大和田の兄に対する複雑な想いが窺えます。

 

 

以下、完全な個人的な意見で失礼します。

冒頭でも書いたとおり無印キャラで1番好きなのは不二咲ですが、大和田もかなり好きなキャラクターであります。彼は不二咲を殺してしまいましたが、怒りの感情等はありません。

どちらかと言うと、死体に偽装をした十神のほうに腹が立ちました。

 

不二咲と大和田ついては、石丸も含めて3人で仲良くしている姿がもっと見たかったなぁ…と思います。大和田は面倒見がいいですし、変わりたいと思う不二咲の良き理解者になってくれると感じたんですよね。

殺されてしまったものの、やはり不二咲は1番良い人選をした…というのは語弊があるかもしれませんが、相談するなら大和田以外はなかったのではないかと思っています。

これ以上、不二咲に仲間が殺し合う姿を見せたくもないですし、だからここで大和田が殺してくれて…殺したのが大和田でよかったと考えています。

 

 

 

…ということで、5話でゲームの2章までが終わりました!

最後に黒幕らしき人間の登場と、“16人目”の存在が明かされ、今後はコロシアイ学園生活そのものの秘密も明らかになっていきます。

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黒幕については“奴”が使っているティーカップのみの登場でした。

ティーカップといえば、いつも紅茶を飲んでいるセレスの印象が強いですが、彼女はコーヒーフレッシュは使わないと思うのでー……あー、これ以上はっ!!

 

 

4話の捜査中に苗木が見つけた

「廃校のお知らせ」の手紙も気になるところですね。

 

6話で3章のどこまでやるのか分かりませんが、2章が1.5話くらいでまとめられているので、こちらもおそらく事件発生~捜査あたりまで終わらせてしまうのでしょう。

次章から少しずつややこしくなっていくので、収まるか不安ですが……。

 

今後も補足しておきたいところなどが出てきたら、記事を書いていこうと思います。

 

 

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――追記――

兄弟を失った石田…石丸が今後どうなっていくのかも気になりますね。

2章で大和田のおしおきが決まったとき、かなりショックを受けていましたから。

 

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